深さ3メートルの磯で卵塊を守るオス。胸びれの下に卵塊が見える(写真・記事 寺沢孝毅)
アイナメ(別名 アブラコ、アブラメ)
カサゴ目アイナメ科
卵隗守り、岩上で威嚇
薄暗い初冬の海中にいた。冷たい海なので、体に震えが来る前に上がろうと思っているときだった。黄色い魚がわざわざ目の前を横切って、周囲では目立つ岩の上に堂々と居座ったのだ。40センチを上回るようなアイナメだ。
撮影にはもってこいと、私はじわりじわり近づいた。するとまた物おじもせず、私の目の前を泳いで見せ、同じ岩に落ち着き払ってこっちを見た。
その動きから、確かな意思を感じ取る。「あっちへ行け」と……。
「この魚、もしかすると俺を追い払いたいのか?」。そうピンときた。案の定だった。
目に付きにくい保護色の卵塊が、岩肌の海藻に産み付けられているではないか。アイナメはそれを守ろうと、私を威嚇していたという訳だ。
鮮やかな黄色の魚体と、微妙な紫色の卵の撮影を済ませると、私は速やかにその場を離れた。
北海道ではアブラコと呼ばれることが多い。その他、アブラメなどの地方名もある。日本全国に分布し、沿岸の浅い海に生息する。産卵期は秋で、冬の間、オスが孵化するまで卵塊を見守る。そうしたオスの体色はひときわ黄色みを帯びる。磯の釣魚としてもよく知られる。刺身、煮付け、唐揚げ、天ぷら、焼き魚など料理を選ばない。

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