イカナゴ of 海鮮オロロンや

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海青味を帯びた風景のなか大群で泳ぐイカナゴの幼魚(写真・記事 寺沢孝毅)


イカナゴ(別名 コウナゴ、メロウド)

スズキ目イカナゴ科

青の風景 流れる大群

 白っぽい砂地の海底にいた。所々にある岩から、海草が伸びて揺れていた。深さ6メートル。日の光が行き届く青みがかった風景に、生き物の気配はなかった。
 海水を蹴りながら、ゆったり進んでいるときだった。突然、砂のなかから細長い小魚が飛び出してきた。まるで弾丸のような勢いで……。しかも、半端な数ではない。
 無数の魚は一団となり、縦横無尽に広がったり狭まったりしながら流れるように移動した。光線の具合によって、魚体がキラキラと輝く。5センチ前後のイカナゴの幼魚である。漁師たちはコウナゴと呼び、夜間、漁り火で集めて漁獲する。
 天売島と焼尻島では5月、沿岸に点々と灯る漁り火が風物だ。しかし、近年は漁が振るわず、出漁する機会はめっきり減った。異変のひとつの現れなのか。


 小さいものを小女子(コウナゴ)、地方名では女郎人(メロウド)などの呼び名がある。沖縄を除く日本列島沿岸に分布し、20センチ以上にまで成長する。北海道と瀬戸内海には特に多い。生息するのに砂地が必要で、水温が高い時期、砂のなかで「夏眠」をするためと考えられている。1歳で成熟し、冬期に砂底に産卵する。大型魚の餌として、海の食物連鎖において重要な位置づけ。佃煮、天ぷらなど食べ方は色々。さっと湯がいた「釜揚げ」は産地ならでわの味わいだ。