砂地に分布するとされるが岩場でも見られた(写真・記事 寺沢孝毅)
エゾキンチャクガイ(別名 ババガイ、ハハガイ、ババノテ)
軟体動物門二枚貝網ウグイスガイ目イタヤガイ科
岩に付着し周囲と同化
ホタテのようだがホタテではない。そんな得体の知れない「ババガイ」なるものを、天売島の仲間とあぶって食べた。味が貝柱にぎゅっと詰まった感じがした。二〇年以上も前のことだが、それ以来、味わう機会はほとんどない。
天売島の東海岸の海底は、沖に向かってなだらかに深くなる。石と岩の海底が、砂地へと変わりはじめる深さ十数メートルを潜水しているときだった。
石と石の隙間に、周囲に同化したような二枚貝を見つけた。あのババガイだと思った。貝殻の合わせ目のところが海底の岩に付着し、固定されている。砂地にいて移動が自由なホタテとは違っていた。この貝の漁獲が困難なことが理解できた。
天売島では砂地で、八尺という鉄の道具を船で引いてナマコ漁をしている。ババガイはその八尺に、ごく稀に入るのだという。
ババガイ、ハハガイ、ババノテなどとも呼ばれる。貝殻にある明瞭な放射状の五本の盛り上がりが「母の手」に見えることに由来する。太平洋の東北以北および日本海北部に分布。細長い扇形で付着生物が表面を覆うが、きれいにとると、それぞれが赤茶と白の貝だと分かる。市場に出ることは稀で、バター焼き、刺身などで食される。

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