道北に分布することはあまり知られていないクロヘリアメフラシ(写真・記事 寺沢孝毅)
クロヘリアメフラシ
軟・腹足綱アメフラシ科
紫色の煙幕で身を守る
「海のなかにもナメクジがいる」。それが最初に出会ったときの印象だった。
握りこぶしの約半分と小さく、海草を伝う姿は見るからに柔らかそうだ。浅い海にいたので光がよく届き、赤茶色の体色と白と黒の模様が鮮やかで美しかった。その反面、毒々しい雰囲気を漂わせ、何となく気味が悪くて触れなかった。
あとで調べて、それがクロヘリアメフラシだと分かる。触ると煙幕のように出す紫色の液体が、接近する雨雲に似ているのだそうだ。それが「アメフラシ」の由来だとある書物にあった。
煙幕は、自身の身に危険を感じたときに出す。毒性はないのだが、たいていの生物は遠ざかるというから効果満点だ。
私はこの手の生き物に弱くて、未だに触れずにいる。でも生態を知れば知るほど、少しは触れてみたくなってきた。
体長は5センチ程度にまでなる。分布を本州以南とする書物もあるが、北海道北部日本海にも分布する。海草を食べる。巻貝の仲間だが、貝殻は退化して体内に痕跡がわずかに残るだけ。雌雄同体で、3個体が連なって交尾する。卵はラーメンに形状が似ていて黄色い。

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