ミズダコ of 海鮮オロロンや

wi_ミズダコ.jpg

餌を求めるためなのか岩肌をじわりじわり移動していたミズダコ(写真・記事 寺沢孝毅)


ミズダコ

タコ目マダコ科

手に負えない吸着力

 あるダイバーが大ダコに顔を抱きつかれ、抵抗したが離れなかったという話を聞いた。口にくわえたレギュレーターを外されそうになるが、抵抗をやめるとやがて離れていったという。以来、タコは決して近づく相手ではないと思っていた。
 私の場合、タコとの遭遇はそれほど多くはない。というより、慣れない私が見落としているだけなのだろう。タコは自分の居場所に合わせ、体色や形を変幻自在にできるのだ。
 一度だけ、ちょうどごまかしようのない状態で、海底を這うミズダコに出くわしたことがある。両手で包めるほどの頭の大きさなので「勝てる」と判断。手ではがそうと試みた。すると、急に石にしがみつき、離れてこない。こっちがもたつく間に、石のすき間に逃げ込まれ、万事休す。小さいタコでさえ、手に負えない自分であった。


 ミズダコとマダコは、本州中部で北と南に分布が分かれる。体長2.5メートル以上になりタコでは最大。1本の綱に釣針をたくさん付けて沈める化け縄漁、入口のある木箱を沈めるタコ箱漁、海面に浮かべた樽から垂らした綱の先に仕掛けを付ける樽流し漁など漁法は多様だ。酢蛸や刺身は正月料理の顔。頭(胴)のなかの内蔵は食感も味も部位により異なり、茹でて酢醤油で食べると珍味。