シワイカナゴ of 海鮮オロロンや

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まるでひとつの生きもののように塊になって泳ぐシワイカナゴ(写真・記事 寺沢孝毅)


シワイカナゴ(別名 アカナゴ)

トゲウオ目シワイカナゴ科

時期限定 黄金の群

 4月の海に繰り返し潜っていると、ある日突然この魚が出現した。差し込む太陽の光を受けて黄金に輝き、それがあまりにも美しく、夢中で寄り添いながら追った。
 深さ数メートルの岩場の海中で、同じ方向へ流れるように動く無数の魚たち。育ちはじめた海藻の森をくぐり抜けるその塊は、まるでひとつの生きもののようだ。そういえば、真夏などの他の季節、この魚の群を見た記憶がないのはなぜか。
 産卵は初夏で、海藻に2ミリの卵を数十個粘着させる。雄も雌もこの時期を過ぎると、間もなく死んでしまうという。孵化して3センチぐらいになる夏、稚魚は海の表層からいなくなり、春まで浅場には現れないというから、見られる時期は限定的だ。天売島など道北の離島でのコウナゴ漁で、ときどき混獲される。


 地方名はアカナゴ。本州中部からサハリンに分布する。体長は雄7センチ、雌9センチ。コウナゴと一緒にゆでた後、天日で干して食用とする。地元にしか出回らない珍味で、特に卵が入った雌がおいしい。