コンブが輝く真夏の明るい海を泳ぐウミタナゴ(写真・記事 寺沢孝毅)
ウミタナゴ(別名 タナゴ)
スズキ目ウミタナゴ科
天売島が分布の北限
真夏の太陽が降り注ぐ、天売島の西側の海を潜っていた。コンブがゆらゆら揺れる沿岸で、平べったい魚の群が見えた。タイによく似た形だと思ったが、タイの仲間は北海道の海にはなじみがない。
「こんな魚もいるのだろう……」。
ダイビングを始めたばかりの私は、その程度の認識しかなかった。そして、数枚のシャッターを切った。
現像が上がってきて図鑑を開いてみて、それがウミタナゴであることが分かる。分布域が「北海道中部〜九州」とあった。天売島は、どうみても北海道北部に位置する。いずれにせよ天売島は、この魚の分布の北限であることを知る。
それから何度も夏の海に潜っているが、ウミタナゴに出会った記憶がほとんどない。陸上の生物に比べ、海中生物の情報は極端に少ないため、その生態など未知なる部分が多いに違いない。
タナゴと呼ばれることが多い。海草が茂った岩場を好み、海底の小さな生物を食べる肉食魚。胎生する魚として有名で、5〜6月に20尾前後の仔魚を産む。山陰地方では逆子を産むので妊婦には食べさせないという迷信があるが、実際には頭から産まれるのが普通。釣の対象魚で、肉質はやわらかく淡白で塩焼きが一般的。

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